パワポで建築パースをつくってみた!

この記事はこんな人におすすめ!
・サクッとプレゼン用のパースがつくりたい建築学生
・普段使用しないパワポの機能を知って、活用の幅を広げたい人
この記事はパワポで建築パースをつくるシリーズ記事です。他の記事は以下からご覧いただけます!
目次
建築パースのつくり方
みなさんは建築パースをどのように作成していますか?基本的なパース作成の流れとしては下記のように、モデリング⇒レンダリング⇒レタッチという流れになります。
建築パースの表現はリアリスティックなものだけでなく、手書き風など様々なものがあるので必ずしも上記の手順に従うわけではないですが、基本的にモデリングのあとになにかしらの編集作業が必要となります。
パワーポイントはレタッチソフトの代用になるか?
レンダリングソフトやレタッチソフトを使用すれば美しいパースをつくることが可能ですが、何と言っても使用料金が高いです。なかには無料で使用できるものもありますが、慣れていないと操作が難しく綺麗に仕上げることができないし、時間もかかります。そこで今回、PowerPointをレタッチソフトの代用として使用できないかと考えました。

レタッチソフトで有名なPhotoshopがありますが、実はPowerPointも類似機能が搭載されているのです!
パワーポイントを使用してレタッチしてみる
実際にパワポを使用してモデルのレタッチをしてみようと思います。本来であればモデリングのあとにレンダリング作業がありますが、ちょっとしたデザイン共有や学生の課題などであれば、レタッチするだけでも十分なパースがつくれます。それに使い慣れているパワポなら時間短縮できるのが大きいです。
01. モデルを用意する
CADソフトからモデルを書き出す
今回使用するモデルは以前スケッチアップの始め方で作成した住宅のモデルです。まだそちらの記事を見ていない方は、ぜひこちらも見てみてください。
スケッチアップで作成したモデルを「建物本体」、「敷地」、「周辺建物」、「その他モデル」で別けてエクスポートしておきます。それらをPowerPointへ取り込みます。
【建物本体】

【敷地】

【周囲敷地】

【その他モデル】

下準備
ソフトから写真をエクスポートすると、背景が邪魔になるので、いらない部分は消しておきましょう。用意したファイルをPowerPointに挿入して「図の形式」タブから「背景の削除」を選択するとPowerPoint側で自動で背景削除する範囲を塗ってくれます。必要な部分が塗られていたら、「保持する領域としてマーク」を選択し必要部分をなぞるとPowerPoint側で削除領域を再認識してくれます。これで不要な部分のみ範囲指定できら「変更を保持」をクリックして背景削除は完了です。

不要な背景を削除して、パワポ上で重ね合わせたものがこちらです。

02. 建物本体のレタッチ
図形にテクスチャを挿入する
挿入タブから図形を挿入し、図形を選択して右クリックから「頂点の編集」で図形頂点を窓ガラスの四方に合わせます。

図形を編集したら、窓ガラスに反射して映る空を表現したいので、空のテクスチャ画像を挿入します。


自前のテクスチャ画像を持っていない人は、テクスチャのフリー配布サイトがあるので、著作権などを確認してそこからダウンロードして使用することもできます!
挿入した空の画像を「Ctrl+X」で切り取った後、図形を選択した状態で「図の書式設定」から「塗りつぶし(図またはテクスチャ)」を選び、クリップボードを選択すると、テクスチャが図形に挿入されます。「挿入する」ではフォルダから写真を選んで挿入することもできます。

空の画像を張り付けたのがこちらです。ついでに木の部分のテクスチャも変更しました。

次は外壁面を仕上げます。先ほどの要領で、テクスチャを挿入したい部分に図形を作成します。壁の質感を表現したいので、今回はくしゃくしゃの紙のテクスチャ画像を入れてみます。


ちなみに図形の頂点を増やしたいときは、頂点編集中に「Ctrl」キーを押しながら図形の外周を選択すると頂点を追加できます。
貼り付けたら、透明度を調整して質感を再現します。

壁全面にテクスチャを張り付けました。

光源の反射と明暗の調整
次は光源の反射を表現します。図形を挿入して頂点編集で窓ガラス全体に図形を合わせます。

図形を合わせたら、「図形の書式設定」から「塗りつぶし(グラデーション)」を選択。グラデーションの種類は「線形」とし、方向は左右方向としておきます。グラデーションは「薄い水色」と「白」を用意し、それぞれ透明度と明るさを調整して光の反射を表現します。

次は影をつけます。スケッチアップ側で光源を入れると影をつけることができるので、その影に合わせて窓にも影が入るようにしてみます。影の部分の図形を挿入して、「塗りつぶし(単色)」、色は「黒」にして透明度を調整します。

影付けしたものがこちらです。

上記の要領で、その他細かい部分の明暗調整を行った後がこちらです。これで建物本体のレタッチは終わりです。どうでしょうか、最初に比べるとかなりそれっぽい感じになったと思います。

03. 敷地のレタッチ
テクスチャの張り付け
基本的なやり方は建物のレタッチと同じです。まずは庭の芝テクスチャを張り付けます。

次に歩道のテクスチャを張り付け。

次にアスファルトのテクスチャ張り付けます。

ひと通り張り付けしたものがこちらです。

芝部にのっぺり感があるので、少し立体感を出そうと思います。芝の図形を選択し、「図形のオプション」から影の標準スタイルで「外側(オフセット左下)」を選択して影を付けます。

背景の挿入
次に適当な空の画像を挿入して背景を作成します。そのまま張り付けるだけでもいいですが、地平線と空の境界がくっきりし過ぎているので、図形に白く透明なグラデーションをかけて画像の上に重ねることで、境界線を曖昧にします。

04. 最終調整
いよいよ最終調整です。好みですが、周辺建物と車は透明度を上げて配置します。こうして見ると基礎と芝の境界に違和感があるので、少し手を加えようと思います。

図形の挿入から「フリーフォーム:図形」を選択し、無造作な感じで境界の部分に図形を重ねます。

ここに先ほどと同じ芝のテクスチャを張り付けて、芝が基礎の境界を覆っているように見せます。後は人や植栽の添景を配置して、透明度を調整すれば完成です。


添景についてもフリー配布サイトがあるので、利用してみましょう。
05. 図形のエクスポート
完成したら写真を全選択、グループ化して、右クリックから「図として保存」を選択するとPNG形式でファイルを保存できます。

まとめ
こちらが完成したパースになります。

いかがでしたでしょうか?PowerPointでも十分にレタッチできることが分かっていただけたかと思います。もちろん専用の編集ソフトを使えばもっと綺麗に仕上げることはできますが、手軽に時間をかけずにレタッチするならPowerPointもありなんじゃないでしょうか。

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。